統合報告書 2026

Sustainabilityサステナビリティマネジメント

PHCグループは、「中期経営計画2027」の中で事業の成長領域を定義づけ、今後の事業成長を牽引するための柱を明確化し、同時にサステナビリティ経営の強化を加速させることを宣言しました。現在、グループ一丸となってサステナビリティ経営を推進しています。

サステナビリティ推進体制

当社グループでは、取締役会監督のもと、代表取締役社長(CEO)を委員長、執行役員(サステナビリティ担当)を副委員長とし、CxO及び事業部長を委員としたサステナビリティ委員会を四半期ごとに開催しています。また、ホールディングスの各職能責任者及び事業部のサステナビリティチームリーダーが陪席し、現場の知見を審議に反映できる体制としています。

本委員会の目的は、取締役会及び経営会議に先立ち、当社グループ全体のサステナビリティに関する戦略や施策を議論・検討し、戦略を実行に移すための具体的なプロセス及びアクションを決定するとともに、最新のサステナビリティ・ESG外部知見を共有し経営視点での意思決定を行うことにあります。優先的に取り組む事項として、事業継続・競争力の確保とグループの成長に資する取り組みの推進、法令順守、顧客対応、ESG評価向上に資する取り組みを位置付けています。

サステナビリティ推進体制図
サステナビリティ推進体制図

本委員会では、当社グループの重要課題(マテリアリティ)の特定、それらに対する指標(KPI)と目標の決定、実績の評価及び改善指示等のモニタリング、新規規制やガイドラインを含むその他サステナビリティに関する活動全般の管理や討議、決定に関する審議を実施しています。

また、2026年度より、本委員会の下に環境分科会、人権分科会等のテーマ別分科会を新設しました。グループ横断で取り組むべき重要テーマについて、より詳細なモニタリングと施策の推進を行い、その結果をサステナビリティ委員会に報告する体制としています。

本委員会での決定事項は、各事業部並びにコーポレート部門から選出されたメンバーから成るサステナビリティチームに指示され、各KPIに対する目標値の達成を目指した取り組みやその他サステナビリティに関連する活動等、グループ全体でサステナビリティ経営を実践できる体制を構築しています。なお、サステナビリティ委員会で報告・討議・審議された内容は、社内規程に準じて経営会議及び取締役会への付議・報告を行います。取締役会は、これらの報告を踏まえ、サステナビリティ活動の妥当性、有効性やリスクについて管理・監督を行っています。2026年3月期は取締役会においてサステナビリティに関する報告は3回実施し、うち1回は当社グループ人権方針更新と2050年ネットゼロ目標の2つの議案の承認を決議しました。

2025年度 サステナビリティ委員会実施概要(全4回)
実施 議題
2025年4月
  • ジオポリティクスのサステナビリティ・ESG施策への影響と考え方
  • 2024年度 サステナビリティ・ESG活動 実績報告
  • 当社グループとして優先的に取り組むサステナビリティ・ESG(決議)
  • 2025年度 サステナビリティ・ESG戦略と行動計画
  • 各生産拠点の温室効果ガス削減かつコスト削減が両立されている施策報告
2025年7月
  • 主要ESG評価 結果報告
  • SBT Near-Term目標 認証取得報告
  • CFP(カーボンフットプリント)プロジェクト キックオフと進捗報告
  • 人権デュー・デリジェンスプロジェクト キックオフと進捗報告
  • 気候変動における2050年ネットゼロ目標(決議)
2025年10月
  • 主要ESG評価 結果報告
  • 温室効果ガス(GHG)算定結果報告
  • 人権デュー・デリジェンスプロジェクト 進捗報告
  • グローバルESG研修・啓発活動の報告
  • 欧州デュー・デリジェンス関連法規制に関するプロジェクト キックオフと進捗報告
2026年1月
  • 主要ESG評価 結果報告
  • CFP(カーボンフットプリント)プロジェクトとACTエコラベルの進捗報告
  • グローバルESG研修・啓発活動の報告
  • サステナビリティ開示規制の最新動向
  • 2026年度 サステナビリティ委員会と分科会体制について(決議)

サステナビリティのリスク管理

当社グループのサステナビリティに関連するリスクについては、サステナビリティ担当部門とリスク担当部門が連携し、社内外の環境の変化を考慮しながらリスクアセスメントを実施します。具体的には、以下のプロセスにより、サステナビリティ関連のリスクと機会の識別・評価・管理を行っています。

識別・評価

サステナビリティ委員会及びその下部組織である各分科会において、当社グループの経営戦略及び事業環境を踏まえたうえで、規制動向、市場環境、ステークホルダーの期待等の外部環境の変化を踏まえ、サステナビリティ関連のリスクと機会を定期的に棚卸し・評価しています。評価に当たっては、事業への影響度と発生可能性を考慮し、対応の優先順位を設定しています。

個別テーマにおけるリスク評価

重要度の高いテーマについて、バリューチェーン全体を対象としたリスク評価を実施しています。気候変動に関しては、サプライチェーンを含むGHG排出量の算定及びシナリオ分析に基づくリスク評価を行っています。人権に関しては、グループのバリューチェーン全体を対象とした人権デュー・デリジェンスを実施しています。また、欧州における規制動向を踏まえ、バッテリー関連製品に係るデュー・デリジェンスについても対応を進めています。

全社リスクとの統合

特定したリスクや対応策は「サステナビリティ委員会」で評価し、「リスクマネジメント委員会」と連携しながら管理を行っていきます。全社的に重要度が高いと評価されたサステナビリティ関連リスクは、リスクマネジメント委員会の全社リスクに統合して管理しています。また、人権デュー・デリジェンスや欧州規制対応等の重要テーマについては、サステナビリティ担当部門とリスク管理部門が合同でプロジェクトを組成し、リスクの特定から対応策の策定までを一体的に推進しています。

地域を越えた共創 ―グローバルESGワークショップの開催―

PHCグループのサステナビリティ推進は、日本にあるホールディングスが一方的に主導するのではなく、ESG先進地域である欧州をはじめとするグローバルメンバーとの地域や部門を越えた協働によって進めています。2026年2月には、ダブルマテリアリティの特定について、特に関連する本社機能及びグローバルグループ各社のメンバーが日比谷オフィスとオンラインに集い、外部講師を招いたESGワークショップを開催しました。

セッションでは、欧州のESG開示規制(CSRD/ESRS)や日本のSSBJ基準の動向、投資家がサステナビリティと財務影響の関連をどのように捉えているか、事業への影響や他社のベストプラクティスを共有し、マテリアリティの考え方について議論を深めました。従来のやり方にとらわれず、その時々の適切なアプローチを皆で話し合って取り入れる―PHCグループが大切にしている価値観の1つである「個の尊重と共創」が、このワークショップの実施にも表れています。

参加者の議論からは、ESGの取り組みが複数部門の協働を前提とすること、データの定義・品質・一元管理が今後の鍵となることが、共通の課題として浮かび上がりました。同時に、 ESGが投資家の信頼や事業継続性、そして顧客から選ばれ続けるための競争力に直結し、長期的な企業価値創造を支えるという認識が共有されました。

地域・事業・機能の異なる多様なメンバーによる対話の積み重ねが、PHCグループのサステナビリティを支えています。こうした議論で得た気づきは、次期中期経営計画に向けたダブルマテリアリティの検討にも繋がっています。

ワークショップの様子