#開業検討 #機器選定ポイント #業務効率化 #紙カルテの電子化 #システム入替
目次
紙カルテから電子カルテへの移行を考える
紙カルテから電子カルテへ移行したいと思った場合、どういう選択肢があるでしょうか。よく発生しがちな課題と、データ移行の考え方について解説します。
電子カルテへの移行を考え始めたら?
カルテの電子化にあたってはクリニック内の運用が大きく変わるため「移行がこんなに大変だと思わなかった…」「患者さんをお待たせする時間が長くなってしまった…」と感じるクリニックも存在します。一方、電子化のメリットを実感しているクリニックも多数あります。明暗を分けるのは、医師だけでなく、事務スタッフや看護師などクリニックで働くメンバー全員の協力を得られているかどうかです。
電子カルテの選定にあたっては、今使っているレセプトコンピューターにつながるメーカーを選ぶ視点だけでなく、「クリニック全体の課題は何か?」「運用を改善するためにはどんな電子カルテが必要か?」など、運用改善の観点で見直してみましょう。
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電子カルテの移行にかかる期間は?
電子カルテへの移行は一般的に、半年〜1年ほどとされています。時間の幅があるのは、電子カルテの選定から院内ネットワークの整備、スタッフ研修まで、状況に合わせて段階的に進める必要があるためです。
また、データ移行の範囲によっても期間は大きく変わります。患者さんの基本情報など部分的に移行する場合と、過去の診療内容まで完全にコンバートする場合では、必要な準備の規模が異なるためです。
紙カルテと電子カルテを一定期間併用しながら段階的に移行する方法を選ぶ場合、スタッフへの業務負荷をおさえやすい一方、完全移行までの期間は長くなる傾向があります。自院のスタッフ体制や診療の繁閑と照らしあわせて、無理のないスケジュールを設計されてみてください。
なお、具体的な導入スケジュールについては、ベンダー担当者にご相談いただくと個々の状況にあった目安をご案内できます。
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紙カルテから電子カルテに移行するメリット
紙カルテを使用している病院やクリニックが電子カルテに移行すると、以下のようなメリットがあります。
情報管理の即時性
メリットの1つ目は情報管理の即時性です。電子カルテはパソコンやタブレットなどを使用するため、記入した情報を素早く保存できます。また、保存した内容を後から検索するのも容易です。
紙カルテの場合、2号用紙の内容だけではなく検査結果や看護記録など、後から追加される情報への対応にも工数がかかるケースは少なくありません。電子カルテは端末があれば情報管理がしやすく、効率的に作業を進められるため、患者さんにとってもスタッフにとってもプラスになるといえます。
ミスの防止
メリットの2つ目はミスが防止できます。電子カルテはパソコンやタブレットに記入するため、カルテの文字を判読できないケースや、書き間違えが減ります。
紙カルテの場合、担当医のみがわかる文字で書いているケースも多いのではないでしょうか。緊急時に他の医師や看護師が読めずに対応を誤ってしまうリスクは否定できません。電子カルテの導入により、書き間違いや読み間違いを原因とするミスを減らせます。電子カルテのメリット・デメリットについて、より詳しく解説した記事も具体的なイメージの参考としてご活用ください。
紙カルテから電子カルテに移行する際の注意点
紙カルテを使用している病院やクリニックの中には、電子カルテへの移行を検討しているところがあるでしょう。しかし、紙カルテから電子カルテへの移行には、いくつかの注意点があります。
運用に適した電子カルテの選定が必要
紙カルテから電子カルテに移行する場合、運用に適した電子カルテを選定しなければいけません。なぜなら、規模や診療科によって、適した電子カルテが異なるためです。
たとえば、院長先生だけがカルテ記載をする個人クリニックと、複数医師が入れ替わりでカルテ記載するグループクリニックでは、求める機能や連携する機器などが大きく異なります。また、クラウド型とオンプレミス型のどちらの電子カルテを選ぶのかによっても、初期費用やサーバーの設置場所確保など、要件は千差万別です。
過去の紙カルテ情報のデータ移行が必要
過去カルテのデータ移行については、「作業が煩雑そう」「スタッフの負担が大きそう」と感じられるケースも少なくありません。過去の紙カルテのスキャン・電子化作業が、院内の業務体制で調整できるかどうかで対応方針が変わります。たとえば、下表のような対応が考えられるでしょう。
| 状況 | 対応方針案 |
|---|---|
| 自院で対応できる場合 |
|
| 自院での対応が難しい場合 |
|
どちらが自院にフィットするかまずはスタッフと確認し、そのうえでベンダーと相談しながら詳細を詰めていくとよいでしょう。もし、進め方に迷う場合は、弊社ウィーメックス(メディコム)までお気軽にご相談ください。
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移行にかかる費用の目安算出が必要
電子カルテへの移行にかかる費用は、電子カルテ本体の導入費用のみではありません。データ移行やスキャン代行を依頼する場合は、別途費用が発生します。クラウド型を例にした目安は下表のとおりです。
| 費用項目 | 目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 初期費用 | 無料〜数十万円程度 | 端末やネットワーク整備費は別途 |
| 運用費用 | 数万円〜 | 利用者数やオプション機能などにより変動 |
| サポート費用 | 月額費用に含まれる場合が多い | ベンダーにより内容は異なる |
まずは複数のベンダーへ見積もりを依頼し、比較検討されるとよいでしょう。
なお、費用の負担を軽減する手段として、「デジタル化・AI導入補助金2026(中小企業デジタル化・AI導入支援事業)」の活用も検討できます。ITツール導入費用の一部を補助する制度です。詳細や申請要件については、公式サイトをご確認ください。
出典:「中小企業デジタル化・AI導入支援事業費補助金」(https://it-shien.smrj.go.jp/)
紙カルテから電子カルテの移行方法について
紙カルテから電子カルテへの移行は大きく3つに分けられます。どの方法が自院に適しているか、考え方の参考になさってください。
方法1.紙カルテと電子カルテを併用する
紙カルテを参考にしながら、電子カルテを利用する移行方法です。たとえば、再診の患者さんが来られたら、今までの紙カルテの情報をもとに電子カルテを入力します。手間はかかりますが、少しずつ進めれば、必要なカルテの情報を電子カルテに移行できます。
方法2.期間を区切って入力をする
紙カルテの数が少なければ、今までの紙カルテをすべて入力する移行方法です。ただし、紙カルテの数が多いほど時間と人手が必要です。「今月は3か月以内に通院している患者さん」のように、現在からさかのぼって期間を区切ります。同じように、少しずつ進めれば業務の負担を少なくできます。
方法3.紙カルテをスキャンする
紙カルテをすべてスキャンしPDFとして取り込む方法です。すべて取り込んでおけば、急に来られた患者さんでも、紙カルテを探す時間と手間を減らせます。一日何枚までと決めてスキャンすれば、スタッフの負担が集中する状況を回避できるでしょう。
紙カルテの電子化におけるガイドラインと具体例
従来使用していた紙カルテや他院からの診療情報提供書などをスキャナで電子化して保存する場合は、厚生労働省が定める「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」に従う必要があります。具体的にどのような決まりを守らなければならないのか、見てみましょう。
出典:厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン第7.0版」(https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001716290.pdf)
できるだけPDF形式で保存する
紙カルテを電子化する際に用いるフォーマットには特別な指定はなく、誰でも簡単に閲覧できる状態が条件とされています。国際標準規格として承認されたPDFが多く使用されており、特殊な事情がない限りはAdobeのPDF形式で保存するとよいでしょう。
出典:Adobe「PDFの信頼性と国際標準規格」(https://helpx.adobe.com/jp/acrobat/using/hayawakari-000.html)
電子保存した紙カルテは廃棄してもよい
医師法において、カルテをはじめとした診療の記録は5年間の保存が定められています。しかし、基準を満たした電子保存ができれば、その分の紙カルテは破棄してよいとされています。
ただし、紙カルテを破棄する場合は個人情報の取り扱いに十分注意し、溶解処理やセキュリティに対応した業者に依頼するなど適切な対策をしましょう。
出典:医師法(昭和二十三年法律第二百一号)第24条(https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000201#Mp-Ch_5-At_24)
出典:厚生労働省「診療録等の電子媒体による保存について」(https://www.mhlw.go.jp/www1/houdou/1104/h0423-1_10.html)
決めておくべきクリニックのルール
紙カルテから電子カルテの導入にあたって、大きく変わる部分では、紙やペンではなく、パソコンの操作が必須です。当たり前のように感じますが、パソコン自体の電源をつける、アプリケーションを立ち上げるなど、紙カルテではなかった事前準備が発生します。
普段パソコンに慣れている方であれば、問題なく操作できるでしょう。しかし「システムが立ち上がっておらず診療が遅れてしまった」そうした小さなタイムロスを起こさないためにも、誰が、いつ電源をいれて立ち上げるかなどのルール決めをしておきましょう。
そのほか、今まで紙カルテと一緒に回していた、申し送りなどのメモや検査結果の運用についても決める必要があります。電子カルテによっては申し送りを入力するスペースや複数の記入枠があるメーカーもあるため、用途によって使い分けられます。
なお、2025年12月8日付で、医療法等の一部を改正する法律が成立し、「2030年12月31日までに電子カルテの普及率約100%」が明記されました。政策の動向を踏まえたルール策定が求められている状況であることは、念頭に置いておくとよいでしょう。同法律を含めた、政策動向を解説した記事も参考になさってください。
まとめ
紙カルテから電子カルテへの移行では、データ移行の方法や期間・費用の見通しを事前に整理しておけば、スタッフへの負担を最小限におさえた移行が可能です。
カルテ運用の変更は、クリニック運営のターニングポイントといえます。まずは、スムーズに移行するための事前準備について、スタッフと確認・検討するところから始めてみてはいかがでしょうか。自院に合った具体的な移行プランのサポートをご希望の場合は、弊社ウィーメックス(メディコム)までお気軽にご相談ください。
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