#開業検討 #開業地選定 #事業計画 #開業直後の悩み #マネジメント
目次
クリニックに必要なマーケティング施策の見極め方|4つの判断軸
多くのクリニックがマーケティングで成果を出せない根本原因は、施策の質ではなく「選び方のズレ」にあります。「何が流行っているか」ではなく、「自院の状況に合っているか」を基準にすると優先すべき施策が絞れてきます。まずは、4つの判断軸で取り組むべき施策を見極めていきましょう。
判断軸①開業フェーズ
自院がどのフェーズにあるかによって、優先すべきマーケティングの目的は変わります。
開業準備期は、地域における認知獲得が最大の目標です。まだ患者さんがいない段階のため、ホームページの公開やWeb広告の出稿など、初期投資を集中させるタイミングといえます。
一方開業直後は、認知の継続と初診患者さんの定着化が課題に挙げられます。広告をすぐに止めてしまうと患者数が伸び悩むため、一定期間の継続投資が欠かせません。
その後の安定期に入ったら、口コミや患者さんからの紹介を中心とした施策へシフトし、患者満足度の向上や診療需要の拡大に投資を振り向けていく流れが基本です。
判断軸②投資可能予算額
予算規模によって、現実的に選択できる施策の幅が変わります。たとえば月額5万円を想定した場合、※Googleビジネスプロフィールの整備やローカルSEOなど、費用をおさえつつ地道に認知を積み上げる施策の優先順位が上がるでしょう。
さらに予算を確保できる状況であれば、ローカルSEOに加えてリスティング広告やディスプレイ広告を組みあわせると、認知拡大のスピードを加速させられます。
どの施策に投資すべきかは、新患獲得単価やLTV(患者生涯価値)、リピート率などの指標を設定し、投資利益率(ROI)を客観的に評価すると判断が容易です。
※Googleビジネスプロフィールは、Google LLCの商標または登録商標です。
判断軸③立地・競合環境
患者さんの導線や情報収集の行動パターンは、立地条件によって大きく異なります。診療圏分析を通じて自院のエリア特性を把握することで、施策選択の精度を高められます。
具体的な立地タイプごとの優先施策について、以下の表を参考になさってください。
| 立地タイプ | 患者さんの主な傾向 | 優先施策例 | 確認したい注意点 |
|---|---|---|---|
| 駅前・都心部 |
|
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| 住宅地 |
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| 郊外・ロードサイド |
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立地の選び方やエリア戦略について詳しく知りたい方には、動画セミナーもご用意しています。
セミナーの視聴はこちらから:開業立地の選定が成功の鍵-失敗・成功事例から学ぶ-
判断軸④診療科特性
患者さんの来院動機や情報収集の行動は、診療科によって異なります。自院の診療科特性を理解したうえで、患者さんの行動パターンにあわせた施策の選定が大切です。
以下の表では3つの診療科区分で特性をまとめたため、自院の診療科で参考になる部分があるかどうか、ご確認ください。
| 診療科区分 | 患者さんの来院動機 | 情報収集の特徴 | 推奨される施策 |
|---|---|---|---|
| 内科系 |
|
アクセス・診療時間などの利便性を重視して比較検討する |
|
| 整形外科・皮膚科 |
|
|
|
| 小児科・産婦人科 | 予防接種や健診をきっかけに来院するケースが多い | SNSや口コミサイトで評判を調べ、安心感・信頼性を重視する |
|
診療科別のマーケティングポイントをまとめたお役立ち資料もご用意していますので、ぜひご活用ください。
資料のダウンロードはこちらから(無料):診療科別クリニック開業のポイント
【チェックフロー】自院に合った施策はどれか
4つの判断軸をフローで整理したため、優先すべき施策の参考になさってください。
【STEP1】現在の開業フェーズを確認する
- 開業前〜開業直後→STEP2へ
- 開業から1年以上経過→STEP3へ
【STEP2】開業前〜直後の場合:月の広告予算を確認する
- 月5万円以下→「HP開設+SEO施策+Googleビジネスプロフィール整備+内覧会」から着手
- 月5〜15万円→上記に加えて「リスティング広告」を追加
- 月15万円以上→上記に加えて「Meta広告・ディスプレイ広告」も組み合わせる
【STEP3】開業1年以上の場合:現在の課題を確認する
- 新規患者さんが少ない→「MEO対策・Web広告・SNS発信」を見直す
- リピート・紹介が少ない→「患者満足度向上・口コミ促進の仕組みづくり」に集中する
- 新規もリピートも一定数いるが、これ以上増えない→「需要のプラトー対策(自費メニュー追加・専門外来設置)」を検討する
【STEP4】立地・診療科で施策を微調整する
- 駅前・都心部→SEO・MEO・差別化訴求を強化
- 住宅地→地域密着の口コミ・紹介促進を優先
- 郊外・ロードサイド→広域Web広告・看板・駐車場アピールを重視
- 内科系→利便性訴求・患者満足度・LTV最大化
- 整形外科・皮膚科→専門性・実績・症例のWeb情報充実
- 小児科・産婦人科→SNS・口コミ・安心感の訴求
本フローはあくまで方向性を絞るための目安です。自院の状況をより詳しく整理したい場合は、後述のセミナーや資料もご活用ください。
開業フェーズ別マーケティング予算配分の考え方
施策の種類を把握したら、次はフェーズに応じた予算配分の組み立て方に進みます。理由として、マーケティング投資のタイミングと配分の判断が、その後の経営の安定性を大きく左右するためです。
- 開業前:認知獲得のための広告費を初期投資として集中投下する
- 開業直後:認知拡大を継続しながら、効果測定の仕組みを整える
- 安定期:広告費を段階的に削減しながら、患者満足度向上や口コミ促進への投資にシフトする
評価指標として新患獲得単価・LTV・リピート率・紹介率を定期的に測定し、施策の継続・撤退の判断材料とすることをおすすめします。
【開業前】認知獲得に集中すべき初期マーケティング施策
開業前後の数か月は、地域住民の方々に「このクリニックが近所にある」と知ってもらうための認知獲得が最優先課題です。この時期に認知をしっかり積み上げておけるかどうかが、開業後の患者数の立ち上がりを左右します。
開院前内覧会で地域に認知してもらう
内覧会は、開業前に地域の方々と直接接点を持てる数少ない機会です。院内を見学してもらうことで安心感が生まれ、初診予約の獲得にもつながります。
内覧会の成果は事前の告知と当日の運営体制で大きく変わります。周知方法は、周辺住宅へのチラシポスティング、ホームページやSNSでの告知、地域の広報誌への掲載などを組み合わせることが効果的です。
当日はスタッフの配置と動線を事前に設計し、来場者アンケートを実施して初診予約の意向を確認する場を設けると、その後の集患の参考にできます。また、近隣の医療機関の方々と顔の見える関係を構築できるきっかけづくりとしての場でもあります。
自院の強みや特徴(高い専門性・設備・医師の人柄など)を具体的に打ち出すことが、来場者の記憶に残るクリニックづくりの第一歩です。
ホームページ開設とローカルSEO施策を施す
ホームページは、患者さんが来院を検討する際に必ずといっていいほど確認する情報源です。検索エンジンへのインデックス登録には一定の時間がかかるため、早期公開が有利に働きます。
ローカルSEOとは「最寄り駅名+診療科」「地域名+クリニック」などのキーワードでの上位表示を目指す施策です。開院前に検索できる状態に向けて、スケジュールを調整しましょう。
ホームページに盛り込むべきコンテンツとしては、以下の項目が代表的です。
- アクセス情報(地図・駐車場)
- 診療内容の詳細
- 医師紹介(経歴・専門性)
- 予約方法
- 院内写真など
また、患者さんはパソコンよりもスマートフォンで検索するケースが多いため、モバイル対応と表示速度の最適化は対応必須です。
出典:総務省「令和6年通信利用動向調査の結果 P5」(https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/data/250530_1.pdf)
Web広告で即効性のある認知拡大を図る
SEOは効果が出るまでに時間がかかります。開業直後に素早く認知を広げるためには、即効性のあるWeb広告の活用が有効です。
主な広告手法は、以下の3種類です。
| 広告手法 | 特徴 |
|---|---|
| Googleリスティング広告(検索連動型)※1 | 「内科 ○○駅」などのキーワードで検索したユーザーに直接アプローチできる |
| Googleディスプレイ広告※2 | Webサイトの閲覧中にバナーとして表示され、潜在患者層への認知拡大に役立つ |
| Meta広告(Facebook/Instagram)※3 | 年齢・居住地・興味関心などで細かくターゲティングができ、特定の診療科や患者層へのアプローチに向いている |
※1Googleリスティング広告、※2Googleディスプレイ広告はGoogle LLCの商標または登録商標です。
※3Meta広告は、Meta Platformsの商標または登録商標です。
いずれも自院の診療圏に合わせた地域ターゲティングを設定することで、無駄な広告費をおさえながら効率的に集患できます。
【開業後】患者数を安定・拡大させる継続的なマーケティング施策
開業から一定の患者数が確保できたら、次は患者さんを定着させ、口コミや紹介を通じて自然な成長につなげる段階です。広告費に頼らず持続的に患者数を伸ばすには、院内の体験品質を高める取り組みが欠かせません。
口コミ・患者紹介を促進する仕組みをつくる
既存患者さんからの口コミや紹介は、費用対効果が高い集患方法のひとつです。広告と異なり、信頼を伴った情報として新規患者さんに届くため、実際の来院につながりやすい特徴があります。
口コミ投稿を増やすためには、※Googleマップや口コミサイトへの投稿を依頼するタイミングと方法の設計が重要です。たとえば、診察後・会計時の声がけや、待合室・診察室への二次元コード設置などが挙げられます。
近年は、患者さんの口コミのほか、悪質な口コミ業者の対応も考慮しなければなりません。具体的な対処法を解説した動画セミナーもご用意しているため、参考になさってください。
セミナー視聴はこちらから:最近の患者トラブルで身に付けておくべきポイントは何か?「非対面世界」にシフトした患者トラブルへの対処法を中心にして
※Googleマップは、Google LLCの商標または登録商標です。
SNS・YouTubeで患者さんとの関係を強化する
SNSや※YouTubeは、既存患者さんとの関係を維持し、信頼を深めるためのコミュニケーションチャネルとして活用できます。
投稿内容としては、休診日のお知らせやインフルエンザや熱中症対策などの季節性の健康情報など、患者さんにとって実用的なテーマが代表例です。
YouTubeでは、よくある症状・疾患に関する解説動画や、よくある質問への回答動画を通じて医師の人柄を伝えられるため、受診のハードルを下げる効果も期待できます。
運用を継続するためには、スタッフ間で担当を分担したり予約投稿機能を活用したりして、特定の人に負担が集中しない体制づくりが欠かせません。
※YouTubeは、Google LLCの商標または登録商標です。
患者満足度向上による離脱防止とリピートを促進する
どれほど新患を獲得しても患者満足度が低ければ定着せず、他院への流出や悪い口コミにつながってしまいます。売上拡大の土台として、既存患者さんの満足度向上は最優先で取り組むべき課題です。
患者満足度向上に関する課題・対策の例として、待ち時間と院内体制の見直しについて以下に記すため、参考になさってください。
| 課題 | 対策 |
|---|---|
| 待ち時間 |
|
| 院内体制 |
|
なお、患者アンケートを定期的に実施し、定型項目の時系列変化や自由記述から課題を発見するサイクルが回ることで、継続的な改善が見込めます。「また来たい」「人に勧めたい」と思われるクリニックづくりが、長期的な経営の安定につながります。
需要のプラトーを打破する
患者数が一定水準に達した後、伸びが止まる「需要のプラトー」と呼ばれる状態に直面することがあります。こうした停滞を打破するには、既存の診療体制の枠を超えた取り組みが必要です。
具体的な打ち手としては、診療時間の変更や診療内容の拡充が有効です。自費診療メニューの追加(インフルエンザ予防接種・健康診断・各種ワクチンなど)や、専門外来の設置(禁煙外来・睡眠時無呼吸症候群外来など)によって、新しい患者層を取り込む可能性が広がります。
医療DXを活用した効率的なマーケティング運用方法
医療DX(デジタルトランスフォーメーション)の導入により、業務効率化と患者さんの利便性向上を同時に実現できます。
とくに、開業前の段階であれば医療DXを前提とした設計が求められてきています。その理由は、運用開始後にシステムを変更しようとすると、既存フローの変更コストやスタッフの学習負担が大きく、後からの対応には抵抗が生じやすい傾向にあるためです。
具体的なDXツールとしては、Web予約システムと電子カルテが代表例です。Web予約システムは、患者さんが24時間いつでも予約できる利便性を提供しながら、電話対応の負担軽減にもつながります。
電子カルテは診療記録の管理効率化だけでなく、経営データの可視化や算定漏れ防止にも貢献します。どちらも初期投資は必要ですが長期的には費用対効果が高く、マーケティング施策の効果測定にも活用できるシステムです。
なお、ウィーメックスでは、それぞれ以下の製品を提供しているため、製品ページや事例ページを参考になさってください。
Web予約システム:「Medicom 診療支援」
電子カルテ:クラウド型電子カルテ「Medicom クラウドカルテ」、ハイブリッド型電子カルテ「Medicom-HRf Hybrid Cloud」
事例ページ:クリニック導入事例
施策選定で陥りがちな3つの罠と回避策
マーケティングに意欲的に取り組もうとするあまり、かえって成果を損なってしまうパターンがあります。代表的な3つの失敗パターンと、それぞれの回避策を確認しておきましょう。
「とりあえず全部やる」で予算が枯渇してしまう
「あらゆる施策をやっておけば安心」という発想でスタートすると、効果が出る前に予算が底をついてしまうリスクがあります。なぜなら、施策の数が多すぎると、それぞれの投資量が分散して効果測定もできないまま底をついてしまいやすくなるためです。
回避策としては、最初に取り組む施策を2〜3個に絞り込み、そこに集中投資する決断力が求められます。
新患数・初診経路・獲得単価などの評価指標をあらかじめ明確にしておき、一定期間後に「継続するか撤退するか」を判断したうえで、次の施策へと移行する流れをつくりましょう。
他院の成功事例を自院に無理やり適用する
「あのクリニックがうまくいった」という事例を見聞きして、そのまま自院に取り入れようとするケースは多くあります。しかし、立地・診療科・開業フェーズ・予算といった条件が異なれば、同じ施策でも効果は大きく変わります。
成功事例は施策の具体的な内容ではなく、考え方や判断の枠組みを学ぶ材料として活用するのが正しいアプローチです。
自院の状況を整理したうえで、まず小規模にテストし、効果を検証してから本格展開するプロセスを踏むことで、大きな失敗を防げます。
医療広告ガイドライン違反による信頼性の低下
医療広告には法律上の規制があり「知らなかった」では済まされない表現が数多く存在します。誇大広告の禁止やビフォーアフター写真の掲載制限など、一般業種では許容されるような表現でも、医療の世界では違反になるケースがあります。
前提として、厚生労働省の「医療広告ガイドライン」は目をとおしておくべき文書です。法令遵守はすべてのマーケティング施策の大前提であり、違反は自院の信頼失墜に直結します。
出典:厚生労働省「医療法における病院等の広告規制について」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/kokokukisei/index.html)
まとめ|マーケティングは自院に合った選択を
クリニックのマーケティングは、流行の施策を網羅的に試すのではなく、開業フェーズ・予算・立地・診療科という4つの判断軸をもとに自院に合った施策の選定が前提です。
まず何から着手すべきか迷っている方には、専門スタッフによるサポートも活用いただけます。開業時のご相談はぜひウィーメックスまで、お気軽にお申し付けください。
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