機能強化加算は2026年度改定でどう変わった?算定要件や手順を解説
機能強化加算は、かかりつけ医機能をもつ診療所・200床未満の病院が初診料に80点を上乗せできる診療報酬の加算です。2026年度(令和8年度)改定では点数(80点)に変更はなく、施設基準への体制要件の追加が中心です。すでに算定中の医療機関は届出の再提出と、2027年5月31日までのBCP策定対応が必要になります。本記事では、改定による変更点から算定要件・届出手順・準備チェックリストまで、自院での算定に必要な情報を解説します。
※本記事では「在宅復帰機能強化加算」には触れておりません。あらかじめご了承ください。
目次
【2026年度改定】機能強化加算の変更点と経過措置
2026度診療報酬改定では、機能強化加算の点数(80点)と算定要件自体に変更はありません。今回の改定は、かかりつけ医機能の体制整備を推進する観点から、施設基準への要件追加が中心です。主な変更点を3点解説します。
【算定中の医療機関へ】
改定にともない、届出の再提出が必要です。施設基準が変更されたため、管轄の地方厚生局へあらためて届出書をご提出ください。
施設基準・算定要件への追加
2026年度改定により、機能強化加算の施設基準に以下の要件が新設されました。
- BCPの策定と定期的な見直しが施設基準に追加
- 厚労省の「BCP作成の手引き」等を参考に策定
- 計画に基づく措置の実施と定期的な見直しが必要
- 外来・在宅データ提出加算の届出が努力義務として追加
「外来データ提出加算」の届出は現時点で必須ではありません。ただし、データ活用推進という政策の方向性があるため、早期の体制整備が得策です。外来データ提出加算の情報をまとめた記事もあわせて参考になさってください。
出典:厚生労働省「令和8年度診療報酬改定7.外来医療の機能分化・強化等P21」(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_71068.html)
なお、院内掲示とウェブサイトへの情報公表は、届出後も継続的な更新が必要です。内容が実態と乖離している場合、返戻・査定のリスクになり得ます。定期的な内容確認・更新ができる体制を整えましょう。
BCP要件の追加(経過措置含む)
BCP策定義務化については、既存届出医療機関向けに猶予期間が設けられています。
- 令和8年3月31日時点で届出済みの場合は経過措置あり
- 令和9年5月31日までにBCPを整備すれば算定継続が可能
- 新規算定の場合はBCP策定が届出の前提
出典:厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について【医科全体版】P383」(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_71068.html)
なお、これからBCP策定の準備を進める場合、参考にしていただけるセミナーをご用意しています。具体的なリスクから策定内容まで網羅しているため、ご活用ください。
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外来医師過多区域に指定されたクリニックへの影響
2026年度改定と同時に健康保険法が改正されました。外来医師過多区域で新規開設したクリニックが地域に不足する医療機能の提供要請に応じない場合、保険医療機関の指定期間が3年に短縮される制度が設けられました。
期限付き指定(3年以内)を受けたクリニックは、機能強化加算の算定対象から除外されます。なお、すでに開業している医療機関には直接の影響は生じません。
今後開業を検討する医師は、都道府県の区域区分を事前に確認しておきましょう。
出典:厚生労働省「令和8年度診療報酬改定7.外来医療の機能分化・強化等P26」(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_71068.html)
出典:厚生労働省「外来医師過多区域に係る候補区域の公表について」(https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/001681549.pdf)
算定によるメリット
機能強化加算を算定する医療機関には、主に以下のメリットが生まれると考えられます。
収益面のメリット
初診料に80点(800円・10割換算)を上乗せできます。「地域包括診療加算」や「小児かかりつけ診療料」は対象患者さんが一部に限られます。一方、機能強化加算は初診患者さんであれば診療科や疾患を問わず算定対象になる点が特徴です。
試算の参考として、初診患者さんが月30人程度のクリニックを想定すると、収益増は年間で約29万円(30人×80点×12か月=288,000円)になります。よって、月の初診患者数が多いクリニックほど、積み重ねの効果は大きいといえるでしょう。
地域からの信頼獲得
院内掲示やウェブサイトでかかりつけ医機能を公表すると「何かあればまずここに相談できる」と地域での認知度が高まります。
また、服薬管理・専門医紹介・保健福祉相談・緊急時対応など、包括的な体制の整備は患者満足度の向上や継続受診にもつながる強みになり得ます。
かかりつけ医機能報告制度が本格稼働しているなか、地域からの信頼を可視化できる加算として、機能強化加算の存在感は今後も増していくと整理できるでしょう。
算定漏れ防止に役立つ製品のご紹介
機能強化加算をはじめとする診療報酬の算定漏れは、クリニック経営に直接影響します。電子カルテのなかでも、レセコン一体型のシステムを活用すると、算定要件をリアルタイムに確認でき、カルテへの記載漏れを防ぐ体制構築が容易です。
ウィーメックスが提供するクラウド型電子カルテ「Medicom クラウドカルテ」は、レセコン開発実績50年以上の知見を活かし、適切な算定をサポートします。また、クラウド型のため、診療報酬改定をはじめ情報更新の自動化も可能です。
導入いただいた医療機関からは「強い味方」や「無駄のないカルテ」との声を頂戴しています。製品に関する詳細や導入事例をまとめているため、参考になさってください。
算定前に確認したい準備チェックリスト
機能強化加算の算定開始・継続にあたり、以下の項目を確認しておきましょう。各項目をひとつずつ点検することで、届出漏れや体制不備の事前防止に役立ちます。チェックが完了したら、地方厚生局への提出スケジュールもあわせてご確認ください。
施設基準・届出の確認項目
まず、前提届出の該当状況と届出書類の準備状況を確認しましょう。2026年度改定での施設基準変更にともない、既存の届出内容が最新の区分に合致しているかも確認が必要です。また、BCP策定や外来医師過多区域への該当状況についても、算定前にご確認ください。
| 確認項目 | |
|---|---|
出典:厚生労働省「令和8年度診療報酬改定7.外来医療の機能分化・強化等P21より抜粋して記載」(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_71068.html)
診療体制の確認項目
次に、算定要件として定められた5項目の診療体制が自院で整備されているかを確認します。院内掲示やウェブサイトへの情報公表は、届出後も内容を最新の状態に保つ必要があります。
体制の実態と記載内容が一致しているか、定期的に見直す体制を構築しましょう。
| 確認項目 | |
|---|---|
出典:厚生労働省「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(通知)(令和8年3月5日保医発0305第6号)(0501訂正後)医科点数表P11より抜粋して記載」(0402訂正後)医科点数表P11より抜粋して記載」(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_67729.html)
あらためて確認しておきたいかかりつけ医機能報告制度
2026年度より、かかりつけ医機能をもつ医療機関を対象とした「かかりつけ医機能報告制度」が本格稼働しています。かかりつけ医機能報告制度は、機能強化加算の算定要件とは独立しています。しかし、両者はともに「かかりつけ医機能の発揮・可視化」を目指す制度です。
具体的には、機能強化加算を届け出ていない医療機関であっても、1号機能(日常的な医療・健康管理)をもつ場合は報告義務が生じます。一方、かかりつけ医機能報告の対象に該当していても、機能強化加算を算定するためには別途、施設基準の届出が必要です。
出典:厚生労働省「かかりつけ医機能報告マニュアル(医療機関用)P6」(https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/001590091.pdf)
なお、かかりつけ医機能報告制度について解説したセミナーもご用意しています。制度理解を深める際にご活用ください。
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機能強化加算についてよくある質問
ここからは、機能強化加算に関する4つの質問を解説します。疑問解消にお役立てください。
2026年度改定にともない、あらためて届出は必要?
はい、届出の再提出が必要です。令和8年度改定により施設基準が変更されたため、現に届出を行っている医療機関でも、あらためて届出書を管轄の地方厚生局へご提出ください。
BCPを策定しなくても算定できる?
2026年3月31日時点で機能強化加算を届け出ている医療機関については、2027年5月31日まで経過措置が設けられています。経過措置期間中はBCPを策定していなくても算定は可能です。ただし、経過措置期間内にBCPを策定し、届出が必要です。
新規に算定を目指す場合はBCP策定が前提となるため、開業前から準備を進めておく必要があります。
かかりつけ医機能報告をしていれば算定できる?
算定できません。かかりつけ医機能報告制度の対象医療機関であっても、機能強化加算を算定するためには別途、施設基準に係る届出を地方厚生局へ提出する必要があります。報告制度への参加と加算の届出は、それぞれ独立した手続きです。
機能強化加算は月に何回算定できる?
機能強化加算は初診料への加算のため、原則として初診のたびに算定できます。同一患者さんへの算定頻度は、初診として取り扱えるかどうかの判断(前回来院から一定期間が空いているか等)に準じます。
まとめ
機能強化加算は、かかりつけ医機能をもつ診療所・200床未満の病院が初診料に80点を上乗せできる加算です。2026年度改定では点数の変更はありませんでした。ただし、BCP策定の義務化・外来医師過多区域の新制度適用という注目すべき変更が加えられています。
算定を継続する医療機関は届出の再提出を行うとともに、2027年5月31日までにBCPを整備する必要があります。新規に算定を目指すクリニックは、届出前にBCP策定と前提届出の確認から始めてみてはいかがでしょうか。
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